がんと闘うための4つの最新データ 医療情報学教授が分析
胃がんの年齢調整死亡率が大幅に低下した
主要部位に限れば、男女とも胃がんの年齢調整死亡率が劇的に下がっている。この図の縦軸が対数目盛りになっていることに注目して欲しい。2000年前後と比べても、年齢調整死亡率が半分以下になっていることが分かる。
男性ではほかに、肝臓がんと肺がんの年齢調整死亡率が1990年代を境に下がり続けており、また大腸がんと前立腺がんでも低下傾向にある。喫煙・飲酒量が減ったことや、大腸がん検診と肺がん検診の受診率が上がったことなどによると考えられる。69歳以下の大腸がん検診の受診率は、2010年では約28%だったが、2019年には約48%に向上した。また肺がん検診の受診率は、同時期に約26%から約53%になった。
女性では、肝臓がんの年齢調整死亡率が大幅に低下した。しかし、乳がんは増え続けている。69歳以下の乳がん検診受診率は、近年徐々に増え続けているが、それでも2019年時点で約47%である。
子宮がんは、記録が始まった1958年から一貫して低下し続けてきたが、2010年ごろを境に増加に転じた。子宮頚がん(子宮がんに含まれる)が増えていることによる。子宮頚がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症することが多いが、ワクチンによって防ぐことが可能である。