永田宏
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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

がんと闘うための4つの最新データ 医療情報学教授が分析

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がん年齢調整死亡率は下がり続けている

 全がんの年齢調整死亡率の推移である。基準となる時点(日本では1985年)の年齢構成に当てはめた場合の、各年のがん死亡率だ。といっても分かりにくいかもしれない。年齢調整死亡率が低いほど、若くして死ぬリスクが低いと考えればいい。

 男性(全年齢)では、1990年代中ごろをピークに、急速に下がり続けている。とくに75歳未満に限れば、1990年代と比べて、がんで亡くなるリスクが3分の2に下がっている。現役世代や前期高齢者(65~74歳)で、がんで亡くなるリスクは急速に低下しているのである。

 女性では統計を取り始めた1958年から一貫して、死亡率が下がり続けている。とくに75歳未満に限れば、1958年の5分の1以下、2000年と比べても半分以下に下がっている。

 年齢調整死亡率が下がり続けているのに、がんの死亡数が増え続けているのは、亡くなる人が高齢側にシフトしていることと、75歳以上の後期高齢者が増えたことが原因である。後期高齢者になると、がんで亡くなる人が急増する。いまは団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に到達しつつあるので、今後10~15年間にわたって、がんの死亡数は増加し、高止まることが予想される。しかし2040年以降は、死亡数も急速に減少するはずである。

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