風邪の自宅ケアでは要注意…子供に大人用の薬を飲ませてはいけない
「咳止め薬の代表的な成分のひとつに鎮咳薬の『コデイン』があります。咳中枢を抑えることで咳を止めます。ただ、コデインには呼吸しにくくなる副作用があり、長期使用による依存性も認められています。小児の事故も報告されていることもあって、2019年から12歳未満へのコデインの使用が規制されています。大人用の咳止めはもちろん、古いタイプの小児用の総合感冒薬の中にはコデインが含まれているものがあるため、しっかり確認したほうがいい」
ウイルスによる風邪に抗菌薬=抗生物質は効かないが、細菌感染が疑われるケースや合併症、その予防に対して処方される場合がある。そうした抗菌薬の中にも子供には使ってはいけないタイプがある。
「風邪に合併した中耳炎、咽頭炎、鼻炎、呼吸器疾患などに対して、レボフロキサシンなどの『ニューキノロン系抗菌薬』や、ミノマイシンなどの『テトラサイクリン系抗菌薬』が広く使われています。ニューキノロン系の多くは、小児が服用すると関節障害や骨の発育不全を起こすリスクがあり、15歳未満の小児には使えません。また、テトラサイクリン系は8歳未満の小児に使うと、歯が黒っぽく変色する着色歯が生じたり、エナメル質の形成不全などを起こすことが知られています。そのため、8歳未満では原則として使用できません。これらの抗菌薬はよく効くこともあって、内科や耳鼻科で広く気軽に使われています。中には子供には禁忌であることを知らない医師が処方しているケースもあるので気を付けましょう。また、大人に処方されたこれらの抗菌薬を子供に分けて使うのは厳禁です」
生体機能が発達途上な子供は、薬の吸収・分布・代謝・排泄が不安定で、薬によっては副作用が強く出たり、逆に効きすぎてしまうケースがある。大人用の薬はたとえ量を減らしたとしても使ってはいけない。