心臓と認知症との意外な関係 米国医師会の医学誌で報告
心臓と脳はどちらも生きるために必要不可欠な臓器です。そして、その両者は決して無関係ではありません。心臓は血液によって全身に酸素を運ぶポンプで、その血液は脳にも運ばれているからです。
心房細動という不整脈があります。これは心臓の中の心房という部分が、けいれんのような異常な動きをして、動悸などの不快な症状が起こる病気です。この心房細動が長く続くと、心房は大きくなって血液の流れも悪くなり、そこに血の塊である血栓ができやすくなります。その血栓が血液に乗って脳に運ばれると、脳の血管が詰まる脳梗塞の原因になるのです。
しかし、もっと軽い心臓の異常でも、脳の病気のリスクになることが、最近注目されるようになっています。今年の米国医師会による医学誌に、心臓の異常と認知症との関係についての論文が掲載されました。アメリカで4000人以上の中高年を、心臓の超音波検査で詳細に調査したところ、心臓の左房という場所の機能が低下すると、認知症のリスクが最大で2倍程度高まることが明らかになったのです。
もちろん心房細動で脳梗塞を起こせば、脳の働きは低下して認知症も増えるのですが、そうした病気はなく、心臓の働きが少し低下した程度でも認知症自体は増えていました。心臓を健康に保つことは、認知症予防にも重要であるようです。