著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「メタ分析」が最良のエビデンスとは限らない…出版バイアスと異質性バイアス

公開日: 更新日:

 ここでメタ分析で統合された効果を中心として、左右対称に研究が分布するのであれば出版バイアスの影響は少ないと判断される。それに対し、標本数が少なく、効果がない、むしろ有害という研究がないにもかかわらず、標本数が少なく、効果があるという研究ばかりが多く、図が非対称であるときに出版バイアスの可能性が高いと考えられる。

 このメタ分析では、マスクの効果を検討した6つの研究が統合されているが、標本数が多い規模が大きい研究ほど効果が小さく、オッズ比は0.77-0.82で、標本数が少ない研究ほどオッズ比0.21-0.34と大きな効果を示している。さらに標本数が少ない研究で効果なしというものはなく、出版バイアスの可能性が残る。統合されたオッズ比0.47はマスクの効果を過大評価しているのかもしれない。

■バイアスは「過大評価」と「過小評価」、どちらの方向にも働く

 次に「異質性バイアス」である。これはメタ分析に対する批判として、ミカンとリンゴを一緒に分析して、いったい何が出てくるのだというものがある。同じような研究であれば一緒にする意味もあるが、バラバラの異質な研究を無理やり一緒にしても、正しい結果が出ることはないという指摘である。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘