中川恵一
著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

来年4月から新制度スタートの子宮頸がん検診…HPV検査と細胞診の2段構えの意味

公開日: 更新日:

 女性の命を奪うがんのひとつ、子宮頚がんは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)がほとんどの原因です。最近では、闘病中の女優・原千晶さん(49)が、このがんの啓蒙活動に熱心ですから男性も病名はご存じでしょう。

 その子宮頚がんの検診制度が来年4月から変わります。実は、子宮頚がん検診の受診率はとても低いので、男性もパートナーの健康を守るため、今回の制度変更を頭に入れておいてください。

 従来の子宮頚がん検診は、20歳以上の女性を対象に子宮から細胞を採取してがん細胞などの有無を調べる細胞診のみで、2年に1回。来年4月からの新制度では、30歳以上は細胞診のほか、まずHPV検査を行い、それでHPVが陽性の場合に細胞診を追加する2段構えが選択肢に加わります。

 細胞診のみのがん発見率は7割ほどですが、2段構えだと100%近くなります。欧米で2段構えが主流なのは、そのためです。

 HPVに感染しても、多くの人は免疫によって数年でウイルスが消滅。排除されずがん化するのは0.1%程度とされます。そこで、まずHPVの感染の有無のみを調べるのがHPV検査です。細胞診はその有無に加え、がんにつながる「異形成」とよばれる状態などもチェックします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

  2. 2
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  3. 3
    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

  4. 4
    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

  5. 5
    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  1. 6
    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

  2. 7
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  3. 8
    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

  4. 9
    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

  5. 10
    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声

    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声