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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【エムポックス】日本で初の死亡報告 不特定多数の人と密接な接触は避けたい

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 通常、エムポックスの潜伏期間は5~21日とされており、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後に発疹が出現、皮疹は性器・肛門が多く、次に多いのが体幹・四肢とされています。

 アフリカにおけるエムポックス患者の致死率は1~10%ほどとされていますが、先進国では多くの場合は軽症で、2~4週間後には治癒するというのが一般的のようです。ただし、乳幼児や妊婦、免疫不全がある人などは重症化する可能性があるとされています。亡くなられた患者さんは30代の男性で、海外渡航歴はなかったのですが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染による免疫不全があったとのことです。

 エムポックスに対しては、日本国内で利用可能な薬事承認された治療薬はまだありません。そのため感染予防が重要で、不特定多数の人と密接な接触をしないことが大切です。感染した人の唾液の飛沫や体液、皮膚の病変などを介して、ほかの人への感染が起こります。感染者の多くで男性同士の性的な接触があったことが確認されました。ただ一方で、女性の患者も確認されていて、密接な接触によって誰もが感染する可能性があります。

 タオルやシーツなどを介した医療従事者の感染の報告があるため、手洗いや手指の消毒を行うことも重要です。感染者が使ったものは手袋などを着用して直接的な接触を避けて洗濯などを行う必要があります。

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