認知症の患者がたばこを吸っても大丈夫でしょうか?

公開日: 更新日:

 認知症の親に「たばこ」をやめてもらいたい──。そう考えるご家族は多いのではないでしょうか。たばこは、大量飲酒するほど認知機能の低下速度を速めるアルコールと異なり、認知症とは直接的な関係はないとされています。ですが、たばこには有害物質が多く含まれ、肺がんや呼吸器疾患などさまざまな健康被害を引き起こします。

 長年、喫煙習慣があるとこういった病気のリスクは高まり、偶然受けた健康診断で慢性閉塞性肺疾患(COPD)が見つかるケースも少なくない。放置すると、がんにつながりやすく、通常の人であれば禁煙を検討するでしょう。一方、認知症の進行した方の場合、いくら医師や家族からたばこの危険性について説明を受けても理解するのが難しいので、自発的に禁煙に取り組む人は極めて少ないのです。

 ある70歳代後半の男性は、アルツハイマー型認知症を発症してから全く外出せず、自宅で過ごしていました。次第に一日に吸うたばこの本数が増え、同居する家族が健康面を心配し、現在手元にある本数を吸い終わったら禁煙してもらおうと、ストック分を購入しなかったそうです。すると、本人は家中にあるお金を集めてたばこを買いに1人で外出したといいます。

 このようにたばこに含まれるニコチンはアルコールよりも依存性が高く、認知症を発症して記憶力が低下しても喫煙欲求は薄れません。

 さらに、禁煙してもらおうと本人からたばこを取り上げて吸えない状況になると、ニコチンの離脱症状からイライラして怒りっぽくなり、攻撃的になりやすい。暴れると本人も家族もケガをする恐れもあります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状