認知症の患者がたばこを吸っても大丈夫でしょうか?
本人が吸って穏やかに過ごせるのであれば…
中でも注意したいのが「隠れ吸い」です。ご家族が本人に対して過度に禁煙を求めるあまり、たばこを吸ったらとがめられるのではないかと、これまでベランダや換気扇の下で吸っていた人も、自室で隠れて吸うようになります。認知症によって注意力が低下すると、火を消し忘れて火事につながる危険があります。
たばこは百害あって一利なしといわれていますが、本人が吸って穏やかに過ごせるのであれば、認知症の方に無理に禁煙させるのではなく、ご家族から渡して徐々に本数を減らしていくのがよいかと思います。
▽井関栄三(いせき・えいぞう) 1979年新潟大学医学部卒業後、同大学大学院進学。84年横浜市立大学医学部精神医学教室入局、2010年順天堂大学医学部精神医学教授を務めたのち、16年シニアメンタルクリニック日本橋人形町を開院し、院長を務める。