現役世代も65歳以下も「人間ドック」は有用…治療の信頼度も確保できる
■75歳以上は3つの心臓検査を受けておく
65歳以上の高齢世代でも人間ドックは有用です。熊本県で実施された研究では高齢者ほど、検診を受けたほうが救急受診したときの病気の重症度が軽いうえ、入院医療費も少ないという結果が報告されています。つまり、高齢でもしっかり検査を受けておくことが命を守ることにつながるのです。65歳以上になると、正規雇用で仕事を続けていなければ、自治体が行う健診などを自主的に受けない限り、自分の体の客観的な判断ができません。その点からも人間ドックはおすすめできるのです。
ただ現在、人間ドックなどの予防医療は健康保険適用外で、自費で受けなければなりません。近年、75歳以上の後期高齢者の医療費が問題になっていますが、予防医療も健康保険が適用される制度になれば結果的に医療費の抑制につながります。ぜひとも国に検討してもらいたいと考えています。
75歳以上の年代では心臓突然死を防ぐためにさらに受けておくべき検査があります。その年代に該当する人は、「自分には動脈硬化性疾患と加齢による心臓弁膜症がある」という前提に立ち、“何歳くらいになると実際に症状が出ると予測できるのか”“それらのリスクを考慮して何年ごとに検査を受けるべきなのか”といった判断をするために検査を受けることが望ましいのです。