たばこを吸わない人の「肺がん」増加! 症状がないから大丈夫…と思ってはいけない
早期発見の唯一の方法
「肺がんの自覚症状として咳、血痰、息切れ、痛み、だるさなどが挙げられます。ただ、これらは肺がんに特徴的な症状ではありません。そもそも、肺がんは無症状の場合が多い。症状がなくても全く大丈夫ではないのです。肺がんはステージⅣで発見される患者さんが珍しくなく、それは自覚症状がないまま病状が進行してしまうから。早期発見のためには、たばこを吸っている人はもちろん、吸わなくても、検査を受けることを強くお勧めします」
健康診断で行われる胸部X線検査や喀痰細胞診、市町村で実施している肺がん集団検診を利用するといい。肺がん集団検診は男女とも40歳以上が対象で、毎年1回実施されている。
そして重要なのは、「要精密検査」となったら、「症状がないから」「たばこを吸わないから」と放置しないことだ。
国立がん研究センターがん対策研究所の発表では、肺がん検診で要精密検査と判定された人の精密検査の受診率は83.8%。20%弱が放置している。
肺がんは、がんの部位別死亡率の中で、男性でトップ、女性で2位となる。
前述の通り、進行してから発見される人が多いからだ。早期発見は当然ながら生存率を高める。
今年6月から放射線治療の一種、陽子線治療が肺がんで保険適用となったが、進行してからの発見では保険適用とならない。
「陽子線治療の保険適用の対象は、Ⅰ~ⅡA期までで、リンパ腺が腫れておらず、がんの大きさが直径5センチまでです。つまり、早期の肺がんのみ。ただし、手術が可能な人は先に手術となります」
従来の放射線治療はX線やγ線を用いる。これらは体の表面近くで最も強い効果があり、体の奥へ進むにつれ効果が弱くなり、さらにはがんを越えて体を突き抜ける。そのため、正常な組織や臓器を傷つけてしまう。
これに対し陽子線治療では、最大のエネルギーを放出する場所(体の表面からの深さ)を設定できる。がんがある場所に設定すれば、そこで最大効果を発揮して停止。奥まで突き抜けない。がんに対して、集中的な治療ができるのだ。
肺がん治療の進化は目覚ましい。その恩恵をより受けるためにも、正しい知識を。