長寿研究のいまを知る(4)老化抑制に強く影響する「サーチュイン遺伝子」と「エピジェネティック」

公開日: 更新日:

 実は老化のメカニズムには、このDNAのヒストンへの巻き付き方が深く関わっているという。

「DNAには膨大な遺伝情報が刻まれていて、生物として活動するのに必要な情報が入っています。しかし、そのすべてが常に読み取られているわけではありません。例えば、肺の細胞は肺を正しく動かすための遺伝情報のみが読み取られ、その他は読み取り不可にすることで肺の細胞として機能しているのです」

 DNAが抱える情報のすべてをゲノムと呼び、DNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子の働きを決める仕組みをエピジェネティックスと言う。それにより得られた情報がエピゲノムだ。

 この遺伝情報の読み取り/読み取り不可の違いは、DNAのヒストンへの巻き付き方の強弱で決まる。巻き付きが強いところの遺伝情報は読み取れず、弱い場所では読み取るという。

「締め付けが弱い場所のヒストンにはアセチル基の目印がついています。このアセチル基の着脱を調整することで細胞の性質を決めているのです。ところが年を取るとDNAのヒストンへの巻き付き方が弱くなり、必要のない遺伝情報まで読み取ってしまいます。結果、細胞が本来の正しい機能ができなくなってしまうのです。これが老化のメカニズムのひとつです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    五輪ニッポン「破産」するスポーツ団体が続出か…JOCは早くも助成金の大幅減額通達

  2. 2

    阪神V逸でも岡田監督は続投か?去就めぐり気になる“編成への関与”…チーム内外で憶測呼ぶ

  3. 3

    なぜ阪神・岡田監督は大炎上しないのか…パワハラ要素含む「昭和流采配」でも意外すぎる支持

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    イメージ悪化を招いた“強奪補強”…「悪い町田をやっつける」構図に敵将が公然批判でトドメ

  1. 6

    清原果耶 2年ぶり地上波ドラマ主演で巻き返しなるか…共演も脚本も放送枠も“再始動”の舞台は揃った

  2. 7

    トヨタまでスポンサー撤退で商業五輪「終わりの始まり」…章男会長「政治色も強くなり」とバッサリ

  3. 8

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る

  4. 9

    青木さやかさん2度の肺がん手術を振り返る「症状らしいものが何もなく、間違いかなと…」

  5. 10

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中