寒くなると血圧上昇…認知症リスクとなる「脳卒中」対策の注意点
これからやってくる寒い季節に向けて、気をつけてほしいのが高血圧です。
高血圧は他の生活習慣病と同様、食事や運動などによって増悪または改善しますが、どんなに生活内容に気を配っても、改善しない場合がある。持って生まれた体質が関係しているからであって、そういう時は薬で対処するしかありません。
高血圧を放置しているとまずいのは、血管にダメージを与えるから。粥状硬化といって、血管の内壁に悪玉コレステロールなどが入り込んでドロドロの粥状物質(プラーク)となり、蓄積して血管が狭くなります。
すると臓器に酸素が行き届かなくなり、狭心症や一過性脳虚血発作が起こってしまう。粥状物質が破裂して血栓ができると、血管が詰まって心筋梗塞、脳梗塞が起こる。脳や腎臓への細い動脈が硬化する細動脈硬化は、進行すると脳出血を招きます。そして脳梗塞、脳出血は、認知症のリスク要因となります。
寒くなると血管が縮んで血圧が上がりやすいのに加え、ヒートショックの問題もあります。温度の急激な変化で血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかって心筋梗塞や脳卒中を引き起こしやすいのです。特に危険なのは、風呂場です。脱衣所はものすごく寒いのに、湯船の中は温かい。高齢になると一般的にせっかちになりがちで、ぱぱっと服を脱ぎ、掛け湯もほどほどに湯船にどぶんと漬かれば、ヒートショックを余計に起こしやすくなります。
寒くなってきたら、脱衣所に暖房器具を置き、寒暖差を小さくしてください。湯船の湯を沸かしたあとは蓋を閉めず、洗い場も温めるように。廊下やトイレなども寒暖差がつきやすい場所なので、そうならないように気をつけてください。
そして何より、高血圧で薬の治療がまだの人は、薬による血圧コントロールを。その際の主な注意点が2つあります。
ひとつは、数値の細かい変動に一喜一憂しないこと。血圧は測定時のストレス、測定前の行動などの影響を受けやすく、変動しやすい。「白衣高血圧」という言葉があるように、普段は問題ないのに、医師の前で測定すると緊張のあまり数値がかなり高くなるケースもあります。朝なら朝、夜なら夜と大体決まった時間に落ち着いた状態で測定し、その数値を記録したものを主治医の先生にチェックしてもらい、必要に応じて薬を出してもらいましょう。
もうひとつは、低すぎる血圧をそのままにしないこと。血圧は低ければ低いほどいいというものではありません。脳の観点からすると、血圧が低すぎると脳への血流が悪くなり、小さな脳梗塞を起こしやすくなります。降圧薬で血圧が上が110、下が50を切るような場合は、下げすぎの可能性があります。薬の変更を主治医に相談してください。
ただし、若い頃から低血圧の人は体質の問題なので、不具合を感じていなければそのままで構いません。