認知症介護を円滑にさせる「ユマニチュード」とは?
認知症の介護の負担を減らす方法に「ユマニチュード」と呼ばれる技法があります。フランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味を持つ造語で、1979年にフランスの体育学の専門家によって開発されました。普段、どれだけ相手のことを大切に思っていても、その気持ちを相手が理解できるよう表現しなければ、相手には届きません。ユマニチュードでは「あなたを大事に思っている」というメッセージを相手へ発信するため、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの基本の技術があり、相手との関係性を築いていきます。
「見る」とは、大切に思っていることを相手に伝える行為です。ベッド上で過ごす時間が長い人を介護する場合、介護者は相手を上から見下ろした状態になりやすく、意図せずに相手に支配的な印象を与える恐れがあります。また、誰でも睨まれたり横目でチラッと見られたりすると、自分を否定されるような気分になるでしょう。相手を肯定するためにも、介護者は相手の正面から目線の高さを合わせ、優しいまなざしで目を合わせる必要があります。介護者が笑顔で見つめると、ミラーリング効果によって相手も自然と笑い返してくれるのです。