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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

オンライン健脳カフェへの質問…ノンアルコールビールなら大丈夫?

公開日: 更新日:

①ノンアルビールなら大丈夫?

 オンライン健脳カフェに、こんな質問が寄せられました。

「知り合いの夫婦のご主人が認知症です。夫婦ともにビールが好きで、奥さまが晩酌をやめられない。ノンアルコールビールなら大丈夫ですか?」

 結論から言いますと、ノンアルビールはOK。特に最近は、アルコールがゼロだけではなく、糖質やプリン体なども全てゼロの商品が出ています。

 しかも、最近のノンアルビールは味が大変おいしくなっている。私も時々ノンアルビールをたしなんでいますが、ブラインドでノンアルか普通のビールか飲み比べると、わからないのではないか。オールフリーのノンアルビールなら、夏場では脱水症対策にもなるようにも思います。

 お酒は、ビール、日本酒、ワイン、焼酎と種類に関係なく、神経の毒になります。一言で述べると、アルコールは弱い弱い覚醒剤のようなものなのです。

 お酒が肝臓病の原因になることはよく知られていますが、人によってアルコールへの感受性が異なるので、肝臓への害の出やすさも異なります。読者の皆さんの周辺にも、お酒をたくさん飲むのに肝機能の数値は高くないという人もいるのではないでしょうか。しかし脳に関しては、お酒を飲んでいると必ず影響が出ます。

 一方で、お酒はストレス発散や、特に日本人では人間関係の潤滑剤として役立つという面もあります。少量のお酒なら健康長寿につながるというのは昔から言われていること。だから、程よく付き合うにはお酒は良き友になる。

 ただ、お酒は記憶力などに関係する脳の前頭葉を萎縮させるということも、念頭に置いておいてほしい。そしてもし物忘れが気になり始めてきたら、お酒の量を減らす、またはお酒をやめる方向への転換を考えてほしいのです。

 アルコールが原因の物忘れなら、節酒や断酒で症状が軽減されるはず。前述のようにノンアルビールは神経毒となるアルコールが含まれていませんから、物忘れがひどくなってからでも問題なく飲めます。ノンアルビールなどをうまく取り入れて、減・脱アルコールをはかってください。

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