著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

心臓疾患の労災認定が増加中…職場で命を守るポイント

公開日: 更新日:

 ①は、発症前1カ月間に約100時間、または発症前2~6カ月間にわたって、1カ月当たり約80時間を超える時間外労働が認められる場合などが該当します。②は、発症前の約1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合などです。③は、発症直前から前日までの間に極度の緊張、興奮、恐怖、驚愕などの強度の精神的負荷を引き起こす突発的、予測困難な異常事態や、急激で著しい作業環境の変化などが該当し、これらが認められる場合に労災と認定されるのです。

 こうした法律や制度の改定によって、労働者の命を守るための環境は徐々に整備されてきているといえますが、それでも、労働者が脳・心臓疾患を発症して労災認定されるケースは増えています。厚労省がまとめた令和5年度「過労死等の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患に関する事案の労災請求件数は1023件で前年度から220件増、支給決定件数は216件で前年度から22件増加しているのです。

 先日、私も同じようなケースを耳にしました。就業時間が不規則な環境で働いている方が、職場で急に体調が悪くなり、タクシーを呼んで病院に向かったところ、車中で意識を失ってしまったといいます。急性心筋梗塞だったそうです。意識がないまま病院に到着し、すぐに心肺蘇生しながら治療が行われて一命を取りとめ、その後、心臓の機能も回復したとのことでした。この方は非常に運が良かったケースで、同じような状況で亡くなってしまう人は少なくありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  3. 3

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 4

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  5. 5

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  1. 6

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  2. 7

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

  3. 8

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  4. 9

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  5. 10

    高市政権の「極右化」止まらず…維新が参政党に急接近、さらなる右旋回の“ブースト役”に