著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

薬を粉砕して服用すると思わぬトラブルが生じる危険がある

公開日: 更新日:

 われわれ病院勤務の薬剤師は、患者さんが入院されるときには必ず薬のチェックを行っています。その際、粉砕してはいけない薬を粉砕されているケースを見かけることがあります。

 内服薬は、体の中で溶解して成分が吸収されるのですが、薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように設計された徐放錠・徐放カプセルなどがあります。このような薬を砕いてしまうと、薬が急速に吸収されてしまうと予想されます。

 たとえば、抗てんかん薬であるバルプロ酸ナトリウム徐放錠の場合、砕くことによって成分が急速に吸収され、眠気などの副作用が急激に現れる恐れがあるのです。また、本来持続的に効くはずだった薬の効果が切れてしまい、てんかん発作を起こしてしまった事例も耳にしたことがあります。

 高血圧治療薬であるニフェジピンも徐放錠が多く用いられていますが、粉砕してしまうと急激な効果発現によって低血圧を起こし、意識消失することも考えられます。

 高齢者施設などでも、患者さんが飲みにくいといった理由で薬を砕いているケースを見かけることがあるのですが、粉砕する前に必ず薬剤師に確認するべきです。薬剤師は、必要に応じて徐放性細粒への変更や同等の効果のある粉砕可能な薬への変更を提案することもできます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    元ソフトバンク「伊奈ゴジラ」の転落人生…淡路島で盗み84件総額472万円、通算5度目の逮捕

  3. 3

    大関・大の里すでに「師匠超え」の鋼メンタル!スキャンダル報道もどこ吹く風で3度目賜杯

  4. 4

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  5. 5

    テレ朝に“ナスD”超え「1億円横領」続々の過去…やりたい放題で解雇された社員のヤバい所業

  1. 6

    東洋大姫路・岡田監督が吐露「本当は履正社に再任用で残る予定で、母校に戻るつもりは…」

  2. 7

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  3. 8

    山下智久「正直不動産」映画化でひと儲け狙うNHKに「甘い」の声も…山P人気は下降気味

  4. 9

    レイズ看板選手「未成年への性的虐待容疑」で逮捕も…ドミニカは殺人も銃撃も「無罪放免」の実態

  5. 10

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在