作業効率が悪いときは時計の「運針速度」を速めてみる
集中しているとき、不思議と時間が早く感じられることがないでしょうか? 千葉大学の研究によると、感じている時間というのは、体験した出来事の数ではなく、出来事を「体験した」と認識するために必要な脳のエネルギーや集中力を使えば使うほど長く感じられる--。つまり、今やっていることにどれだけ一生懸命に頭を使っているかによって、体感時間が変わるということが示されたといいます。
また、生物学者のヴァン・ワッセンホフらの研究チームは、1秒間に起こったことの順序を脳がどのように認識するかを研究しています。その結果、見るものや聞くものによって、時間の受け取り方が変わることを突き止めています。
例えば、視界の中で対象物が大きくなったり近づいたりすると、時間がより長く感じられることが分かったといい、何かに強い注意を向けると、時間の認識が歪められることも判明したそうです。すなわち、強い注意を向ける=集中していると、時間が早く過ぎ去ったように感じられるというのです。
このように時間感覚は、理屈さえわかれば、ある程度コントロールすることが可能というわけです。東京大学の伴らによる、「時計の運針速度を速めると、作業の量的質的効率が向上する」という興味深い研究(2016年)があります。運針とは針の動きのことです。秒、分、時間ごとに進む時計の針の速度を速めると、作業効率が向上するというのだから驚きでしょう。