(3)娘の1日4回の投薬指示に父は「もういいよ!」と逆ギレ
点眼薬を挿入する朝、昼、夜、寝る前の時間を書き込み、各時間の下に「赤色」「オレンジ色」「青色」の容器の絵を3色のマジックペンで描く。テレビの上方の壁に「厳守!」と書いて貼り出し、裕子さんの自宅から、電話による“遠隔操作”を始めた。
点眼薬をさす時間が来ると、「お父さん、左目にまず赤色の目薬を1、2滴入れて、目をパチパチして。5分過ぎたら今度はオレンジ色の目薬を入れて、また目をパチパチよ」といった指示を出す。
裕子さんは、買い物の最中や家族での食事中でも、1日数回、電話を繰り返した。
そんな“遠隔操作”を孝一さんは面倒くさがり、「もういいよ!」と怒り出した。手術前の右目に点眼薬を挿入することもあった。
点眼薬の挿入をめぐる親子のバトル。さらに困ったのは、術後から半月後、今度は右目も手術したことで、点眼薬のさし方がより複雑になったことである。
裕子さんは言う。
「院長から、術後、目が改善するまで父との同居を勧められました。でも、父が同居を嫌がったのです」=つづく