体に生えるカビの健康被害…全身に影響する口の中の対策が必要
そこから排出された毒素により歯肉に炎症が生じ、歯を支える歯槽骨が退縮して歯が抜け落ちていく。
「いったんバイオフィルムが形成されると、洗口剤を使っても、殺菌成分が内部まで到達できず治療できません。だからこそ、歯磨きによる機械的動作で破壊・除去する必要があります。しかし、大事なのはそうなる以前にバイオフィルムが形成されにくい状態をつくることです。それには細菌とともに真菌の数を減らすことが重要なのです」
■抗真菌剤入りの歯磨き剤を使う手も
長年の臨床経験からそのことを痛切に感じた木村院長は、対策のため、抗真菌効果が実証されているカプリン酸配合の歯磨き剤の研究・開発に着手。2017年には「抗真菌剤の長期使用が歯垢量を減らし歯垢の粘着性も低下させる」ことを当時の鶴見大学歯学部教授や製薬会社などとの共同研究で明らかにした。その後、カプリン酸を利用した製品を完成させ販売、好評だという。
「就寝前の歯磨きに使用することで、朝の口腔内のネバネバ感が消えたとの声が多く、診療所の患者さんの臨床変化として歯肉や口臭の改善が認められます。安全性に疑問を持つ声もありましたが、カプリン酸はココナツオイルや薬草であるドクダミ草、母乳にも含まれていて、日常的に使用しても問題ありません」