著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

ラピダスは日本の半導体産業復活の先駆けになれるか…経産省全面支援でも市場の厳しい見方

公開日: 更新日:

 そうした遅れを取り戻すために繰り出されたのが公費による支援だ。経産省はラピダスの研究開発費に3年間で9200億円の支援を決めており、さらに政府は11月の経済対策で、半導体やAI産業を支えるための新たな財源フレームを設け、30年度までの7年間で10兆円規模の支援を行うことを盛り込んだ。「このうち、ラピダスの量産化実現にはさらに4兆円ほどの資金が必要だとして、政府による出資や金融機関の融資への保証が検討されている」(同)という。まさに政府(経産省)丸抱えの半導体復権プロジェクトだ。

 だが、経産省内部には、ラピダスの先行きを不安視する声も聞かれる。「ラピダスの2ナノプロジェクトを推進してきたのは自民党の半導体議連の面々、会長は甘利明氏だった」(経産省関係者)。だが、その甘利氏は先の衆院選でよもやの落選。工場誘致を進めた北海道5区選出の和田義明氏らも落選の憂き目に遭った。

 危機感を強めたラピダスの小池社長は、一計を案じ、経産省の元事務次官で、岸田文雄政権で首相秘書官を務めた嶋田隆氏を特別参与に招聘した。嶋田氏の天下りは、ラピダス公的支援の「見返り」か、それとも「人質」か。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  2. 2

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  3. 3

    赤沢経済再生相「2回目」関税交渉に早くも不発の予兆…切り札の“ジープ特例”ほぼ効果なしと識者バッサリ

  4. 4

    何者かが無断でクリームパン訪問販売…「八天堂」も被害か? 状況は「清水屋」に酷似

  5. 5

    ついに出た4つ目のクラウン、新型エステート登場! コイツがもしや“ベスト”なのか?

  1. 6

    国内自動車大手6社で減益4兆円の恐れ…トランプ関税と円高のWパンチで「我が世の春」の終焉

  2. 7

    トランプ関税で「過去80年間の世界経済システムがリセットされた」 IMFの警告が示唆するもの

  3. 8

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

  4. 9

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 10

    データセンターの地方分散が急加速 首都圏や大阪圏への集中から北海度、九州へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動