ラピダスは日本の半導体産業復活の先駆けになれるか…経産省全面支援でも市場の厳しい見方
北海道千歳市で建設が進んでいる半導体メーカー・ラピダスの次世代半導体工場が今年4月に稼働する。回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)級の半導体の試作を行い、2027年から量産に入る計画だ。「2ナノ」半導体は、3ナノと比較して計算処理速度が格段に速く、次世代のスマートフォンや高度な自動運転に欠かせない。ラピダスは日本の半導体産業復活のフロントランナーとなれるか。
12月18日、新千歳空港で開かれたラピダスの世界最先端半導体導入式典には経済産業省の関係者や北海道知事ら100人あまりが出席した。挨拶に立った小池淳義社長は、「北海道、日本から全世界に最先端の半導体を届ける。まだ1合目だが、頂上までの確実な第一歩だ」と胸を張った。
ラピダスが新たに導入するのは「EUV露光装置」といわれるもの。特殊な光で半導体の基板に微細な回路を焼き付けるのが特徴で、ラピダスが量産化を目指す「2ナノ」半導体の製造には欠かせない装置となる。
だが、「2ナノ」半導体を巡る競争は激しい。「台湾のTSMC、韓国のサムスン電子は25年から2ナノの量産を開始しており、米アップルは、TSMCの半導体を使って次世代のiPhoneを生産することを視野に入れている」(メガバンク幹部)という。