「史上最弱横綱」稀勢の里を生んだ“機能不全”横審の大罪
問題横綱を野放し
横審がマトモに機能していた時代も過去にはあった。貴乃花は大関時代の94年、9月場所で全勝優勝を果たすも、7月場所が優勝次点ですらない11勝だったことから、横審は昇進見送りと判断。貴乃花はこの年の1月場所と5月場所で優勝しており、安定感は稀勢の里の比ではなかった。にもかかわらず、「基準を満たしていない」という理由で昇進を拒否された。
それが今やどうだ。設立当初の理念はどこへやら、大手メディア幹部などの名誉職同然となっているのが横審の現状だ。無報酬だからいいだろう、では済まされない。
事実、ここ最近の横審は何の役にも立っていない。品格のカケラもない朝青龍を野放しにし、白鵬の土俵上での素行も当初は見て見ぬフリ。17年11月場所中に発覚した日馬富士暴行事件に便乗する形で、ようやくヒジ打ちや張り差しなどに苦言を呈すだけだった。
その日馬富士に対して、北村委員長は、「引退勧告とか休場させるとか注意とかあるが、具体的にどのレベルの処分がという話にはなってない。ただ、厳しい処分が必要だろうという、抽象的な話があった」と訳のわからないことを話し、結論を先送りにした。そうこうしている間に、日馬富士は引退。その後、横審は「引退勧告相当」と発表したものの、後の祭りだ。
稀勢の里に対して「激励」を通告したといっても、そもそも横審には昇進を決める以外に何の権限もなく、通告には拘束力もない。そうでなくとも、現在の横審には以前から専門家の間で不要論がある。彼らが無理やりつくった稀勢の里が醜態をさらしていることで、それが再燃し始めている。
引退を決意した稀勢の里と一緒に、横審が「退場」したって誰も困らない。