「史上最弱横綱」稀勢の里を生んだ“機能不全”横審の大罪
「相撲が幼い」
横綱が負けると、普通は館内から悲鳴にも似た声が上がる。期待を裏切られ、「まさか」という気持ちがそうさせるのだ。しかし、稀勢の里(32)の場合は「あー……」という、諦めまじりのため息が大半。もはや、負けて当然、と思われているのだ。
15日も栃煌山に完敗し3連敗。昨年9月場所から数えれば、横綱として史上ワーストの8連敗となった。立ち合いから前に出るも、まわしを取るのか押すのかハッキリしない取り口で、栃煌山にあしらわれるように寄り切られた。
そして翌16日、ついに引退を決断。記者会見ではその心境を、「私の土俵人生において、一片の悔いもございません」と語ったものの、相撲取材歴50余年、評論家の中澤潔氏は現役最後の取り組みを見て、「こんなひどい横綱は今まで見たことがない」と、こう続ける。
「新入幕力士が横綱と当たったときのような相撲でした。稀勢の里は立ち合いで前に出たが、いきなりもろ差しを許している。年齢や地位を考えれば、これまでの集大成を見せるべきなのに、相撲があまりに幼すぎます」
横綱としての通算成績は「36勝36敗97休」。2017年3月場所で左上半身を大ケガしたとはいえ、土俵に上がるより休んでいる方が多い。もともとメンタルが脆く、大関時代から「ノミの心臓」と言われ、何度も綱とりに失敗した。
だからだろう、稀勢の里本人に対しては当然として、そんな横綱をつくり上げた相撲協会、横綱審議委員会に対しても批判の声が上がっている。