稀勢引退も満員御礼続き 若手台頭で相撲人気低下は杞憂に
勝率5割は歴代横綱最低でも、8場所連続休場は横綱として史上ワーストだとしても、唯一の「和製横綱」だったことには違いない。
16日に引退会見を行った横綱稀勢の里(32)。今後は荒磯親方として、当面は田子ノ浦部屋の部屋付き親方を務める予定だ。
当初、相撲協会内では、稀勢の里の引退による「相撲人気の低下」が懸念されていた。弱いといっても、そこはただひとりの日本人横綱。2003年に貴乃花が引退して以降、いかにファンが和製横綱を待ち望んでいたかは言うまでもないだろう。しかし、フタを開けてみたらどうだ。稀勢の里が引退しても満員御礼は途切れず、相も変わらぬ客の入りを見せている。「それだけ、今の土俵内容が充実しているということではないか」とは、ある親方だ。
「いくら看板が立派でも、内容が伴わなければ意味がない。それこそ、北の湖前理事長が口を酸っぱくし、八角理事長も声を大にして説いている『土俵の充実』でしょう。今は白鵬を除く上位陣こそだらしないが、若手は群雄割拠。先場所優勝の貴景勝(22)を筆頭に、今場所は休場してしまった御嶽海(26)、阿武咲(22)、北勝富士(26)ら、上を狙えそうな力士がゴロゴロいる。当たり前だが、彼らはいずれもガチンコですからね。今場所で言えば遅咲きの錦木(28)が鶴竜から初金星を獲得するなど、下からの突き上げを上位陣もはね返せなくなっている」
優勝は九分九厘、全勝の白鵬だろうが、イキのいい若手の活躍を楽しみにしているファンも多い。平成最後の天覧相撲となった20日は、2敗の貴景勝が1敗の阿武咲を破るなど熱戦が繰り広げられた。
和製横綱不在が客足に影響することはなさそうだ。