球界の「低め信仰」はウソ 藤川のピッチングはそれを証明した
阪神の藤川球児(40)が引退した。「火の玉」と形容された全盛期のストレートには惚れ惚れとさせられたものだが、それだけで日米通算245セーブを挙げられたわけではない。速く、伸びるあの真っすぐの使い方が抜群にうまかった。
プロ野球の解説者はいまだに、「ボールが高いですね。危ないですよ」「低めに制球ができていない。要注意ですね」などと言っているが、藤川の投球はまったく逆だった。真っすぐは打者のベルトより上に投げ込むのがほとんど。だから、もうひとつの武器である低めのフォークボールがより効果的だった。
メジャーリーグを見ていても、球速140キロそこそこの投手にすら、捕手が高めに構えていることが少なくない。メジャーはフライボール革命の影響で、打者のスイングがより顕著にアッパー軌道になってきた。バットをすくい上げるように振る打者にとって、低めより高めが打ちにくいのは道理。
メジャーの影響を受ける日本でも打者のスイング軌道が変わってきているから、日本の「低め信仰」はいよいよ時代に合っていない。