アーチェリー銀メダル山本博さんは今年還暦 それでもパリ五輪に挑むモチベーションとは
非現実的なことに立ち向かう“遊びの部分”を楽しみたい
山本博はこの20年の間メダルから遠ざかり、出るのが当たり前だった五輪の切符を逃したこともあったが、過去の栄光や財産をすべて吐き出し、1回リセットしたことが成功だったと振り返る。
「(アテネ五輪の頃は)アーチェリーそのものを純粋に楽しんでいた10代の頃の自分に戻れた気がしましたね」
そんな無欲の姿勢でアーチェリーと向き合えたことが、どん底からの復活劇につながったのだ。
ところで、驚くのはまだ早い。今年10月に60歳の還暦を迎える山本さんは、いまだに母校の教授をしながら競技も続けているのだが、6回目のオリンピックを狙う気持ちに衰えはないという。
「アーチェリー選手と教員は似ているところがあるんです。それは、どんなに頑張っても儲からないということ。アマチュアスポーツのアーチェリーは大会の入場料すらいただけないんです。教員だって一生懸命教えても、適当に教えても給料は一緒。それでも僕が一生懸命やっているのはプライドがあるからです。会場のお客さんをいかに感動させられるか、学生たちにどれだけ素晴らしい教育を提供できるか。どんな仕事にもサービス精神は大事だと思います」