アーチェリー銀メダル山本博さんは今年還暦 それでもパリ五輪に挑むモチベーションとは

公開日: 更新日:

「過去を悔やむ生き方に成長なし」

 練習方法や試合中の判断などに、後悔はなかったのだろうか。

「過去を振り返って、ああすれば良かったと反省する人間はその程度だと思いますね。世界最高峰の選手はベストを尽くして当たり前。その時々には絶対これだと決めて選択しているはずです。だから後悔しても仕方がない」

 耳が痛いビジネスマンも多いのでは。話は続く。

「やるべきは、次こそその選択が自分の成長につながるよう願望を強く持つこと。そして、その裏付けになるだけの努力を重ねること。その繰り返しですよ」

 その言葉通り努力を重ね、90年には全日本社会人選手権の男子70メートルで344点の世界新記録を叩き出す。そして次こその思いで、92年のバルセロナに乗り込むが、結果は17位と惨敗だった。さらに4年後のアトランタでは順位を落とし19位。そして2000年のシドニーでは、代表落選という屈辱を味わう。

「世界記録を出した時は極めて幸せでしたね。誰も出したことがない前人未到の記録ですから。でもそのせいで、金メダルに対する欲求が一層強くなってしまったんです。世界記録まで出したら後は金メダルしかないと」

 その欲求が強くなればなるほど雑念が入り、体が硬くなる。さらに取れなかったらどうしようと不安になる。そういう自分の心の変化を客観的に見られないまま、40歳近くまでいってしまったのだ。

「それでも国内の大会では優勝するし、記録も悪くない。だから自分が致命的なスランプだということに気づけなかったんです。なぜ国際大会に出るとダメなんだろうと悩んでいました」

 しかし、04年のアテネ五輪では見事復活し、自身最高となる銀メダルを獲得する。その時の心境には、どんな変化があったのか?

「実はあることがきっかけで、アーチェリーそのものを純粋に楽しんでいた10代のころの自分に戻れたんです」

 そのあることとは?

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 3

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  4. 4

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 5

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ