パリ五輪のマラソン代表選考レース 曖昧なMGCから令和のドラマは生まれるのか
友人のカメラマンが陸上大会で不快な思いをしたという。
若いカメラマンに「だから昭和は……」と捨てゼリフを吐かれ、口論になったそうだ。現場にいないでよかった。乱闘になっただろう。かつて、明治は遠くなりにけりという嘆きを聞いたが、昭和はつくづく遠くなった。
昭和のスポーツといえば、野球、相撲、マラソン。野球には大リーグという抜け道ができ、相撲は親方たちの知恵で独自の道を歩んでいる。電通が最後まで入り込めなかったのが角界だ。マラソンの道は険しい。
来年のパリ五輪の代表選考レース、MGCの要項が発表になった。10月15日、国立競技場発着。男子は65人、女子は27人がエントリーした。過去2年の実績で出場資格を手にした総勢92人だが、どれくらいの人が選手の顔を思い浮かべるだろう。大迫傑と川内優輝くらいではないか。
MGCの趣旨は、揉めることが多い代表選考を一発レースで決めようというもの。決めるのは代表3人のうちの2人だから一発ではない。8月26、27日には世界選手権が行われ、直前の9月24日にはベルリンマラソンが開かれる。女子の日本記録を連発したベルリンのディレクターは、今春に大阪で開かれたAIMS(世界ロードレース主催者会議)で、期待の新谷仁美と大迫の名を挙げ、「あらゆる努力を払う」と話していた。