関西の逸材を発掘する中で阪神からスカウトされたことがある。移籍していたら「給料は…」
こう言う鈴木は一度、他球団からスカウトされた経験がある。
「根本(陸夫)さんが管理部長だった90年代、阪神でチーフスカウトなどを歴任した小林治彦さんがキャンプ地の春野に来て、『ウチにください』とお願いしたそうです。根本さんがダメだと言って、それで終わったんですけどね」
法大出身の小林氏は根本氏の後輩で、新聞記者からスカウトとして入団。79年の岡田彰布(早大)、81年の平田勝男(明大)ら、東京六大学の出身選手を多く指名した時期の、チーフスカウトだ。
西武は鈴木が担当した関西出身選手が主力を担った。地元球団の阪神としては、何とも羨ましいチームだったことだろう。もし、阪神に移籍していたら……。
「給料が上がったかもしれませんね」
中学生を指導する長野・飯田のグラウンドで、鈴木は冗談っぽく笑った。 (おわり)