週間読書日記
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井川香四郎(作家)
1月×日 小学6年のとき、精神科医をしていた同級生の父親に案内されて、閉鎖病棟を見学したことがある。二重の鉄扉の奥には、鉄格子の部屋が廊下の両側に並んでおり、手先を差し出して「先生! りんごちょうだい…
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風野真知雄(作家)
1月×日 今年、幕末を舞台にした“くノ一物”を書くことになっていて、どんなキャラクターにしようか模索中である。私は出版点数が多いので、思いつくまま適当に与太話を書き散らかしていると受け取られがちだが、…
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絲山秋子(作家)
12月×日 庭のコブシの木が大きくなって、落ち葉の量が増えた。すっかり片付けても翌朝にはまた降り積もっている。黄金色の大きな葉っぱを見て私は「これが全部諭吉だったらいいのに」と毎年同じことを言っている…
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花房観音(作家)
12月×日 今年の5月に繁華街で倒れ緊急搬送されしばらく入院していた。不調を加齢と更年期のせいにしていたら、実は心臓が悪くなっていて「心不全」と診断された。意識が遠のいて「死」が見えた。結局、助かり回…
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山本幸久(作家)
11月×日 池袋新文芸坐へ今村昌平監督「人間蒸発」(1967年)を見にいく。露口茂が本人役で登場、蒸発した男性の行方をその妻とともに追い、監督自らも出演する。一応、ドキュメンタリーなのだが虚々実々入り…
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南杏子(医師・作家)
11月×日 診療の合間、心温まる絵本に出合った。ジョナ・ウィンター著「ちいさいフクロウとクリスマスツリー ほんとうにあったおはなし」(福本友美子訳 鈴木出版 1650円)。作者は環境問題と社会正義をテ…
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中澤日菜子(作家)
11月×日 大学2年生の次女が「ツイッターで見て美味しそうだったから」といって、中央アジアの米料理「プロフ」を夕飯に作ってくれる。ピラフに似た料理で、米を豆やマトンと炒め煮にした料理。「うまいうまい」…
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吉村喜彦(作家)
11月×日 サントリー宣伝部時代にお世話になった岡崎満義さんの新著「葉書に書いた人物スケッチ」(西田書店 880円)を読む。 岡崎さんは「月刊文藝春秋」編集長や「スポーツグラフィックNumbe…
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藤井青銅(作家・脚本家)
10月×日 先日開催した「あの素晴しい歌をもう一度」コンサートのアフタートークに、ステージ台本を書いた作家として出席。コンサートのアフタートークは珍しい。 10月×日 藤井一至著「大地の五億年~…
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志川節子(作家)
10月×日 猛暑も落ち着いてしばらく経ち、気持ちのよい季節が到来した。が、どうもいま一つ調子が出ない。机に向かっても集中力が続かず、知らぬうちに溜息をついている。 パソコン画面に、秋バテなる言…
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髙橋秀実(ノンフィクション作家)
10月×日 連日、私は「おやじはニーチェ」(新潮社 来年1月発刊予定)のゲラを推敲している。これは認知症の父と過ごした日々をつづった私的ノンフィクションで「認知症とは何なのか?」と考察する1冊なのだが…
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亀山郁夫(名古屋外国語大学学長)
10月×日 1963年11月、テキサス州ダラスで暗殺されたJFKが、私の時ならぬブームとなって約4か月が経つ。この間、JFKと関係があったとされるMM(マリリン・モンロー)の「魅力」にも目覚めてしまっ…
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中野純(闇案内人)
9月×日 夏は闇歩きガイドの繁忙期で、いろんな人を夜の山へ案内したが、秋雨前線がやってきて一段落。桔梗色のカバーが印象的な谷口義明・渡部潤一・畑英利著「天文学者とめぐる宮沢賢治の宇宙 イーハトーブから…
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稲葉稔(作家)
9月×日 1行どころか1字も書けず、仕事場から退散。自宅に帰ってごろりとなり、結城真一郎著「#真相をお話しします」(新潮社 1705円)をぱらりと開く。現代推理だ。SNSやスマホを使った仕掛けや、布石…
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
9月×日 日頃、韓国に配慮した意見を言うと、「反日」と非難する保守政治家が、どういうわけか旧統一教会の話題が出ると押し黙る。韓国人教祖を「お父様」と呼び、その夫人を「マザームーン!」と絶叫する自民党議…
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北尾トロ(ノンフィクション作家)
8月×日 酷暑が盛りを過ぎ、朝晩が涼しくなってきた。趣味でやっている野菜作りも、トマトやキュウリが枯れてきて、元気なのはナスとオクラくらいだが、収穫量はともかく畑にいるだけで気分がいい。コロナ禍で家に…
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森達也(映画監督)
8月×日 芥川賞を受賞した「おいしいごはんが食べられますように」(講談社 1540円)を読む。著者は高瀬隼子。大きな物語ではない。ごく普通の会社。ごく普通の社員たち。メインは20代後半の男性社員と2人…
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竹倉史人(人類学者)
8月×日 警察署に国際免許証を取りに行く。次回作「続・土偶を読む(仮題)」の取材で、来週からヨーロッパ各地を訪れる。「土偶を読む」(晶文社)では縄文時代の土偶が「植物の仮面を装着した精霊像である」とい…
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黒木亮(作家)
7月×日 久しぶりのスコットランド旅行で、ネス湖をみる。人里離れた山奥にある霧がかかった湖で、何かがいても全然おかしくない雰囲気。家族も職業も捨て、湖畔に小屋を建て、1991年からネッシーを捜し続けて…
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一ノ瀬俊也(埼玉大学教養学部教授)
8月×日 陸上自衛隊が舞台のテレビドラマを観ている。いわゆる落ちこぼれ男子たちの青春物語で、女性はというと「美人」と呼ばれる教官が1人。彼女は隊員たちの成長に一定の役割を果たすが、しょせんは「紅一点」…