週間読書日記
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
11月×日 「エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論」(サイゾー 1650円)を読む。 対談ホスト役の叶井俊太郎は異色映画の宣伝プロデューサーとして有名な人…
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茂木健一郎(作家・脳科学者)
11月×日 昨今の日本の、年齢で人を決めつけたり、世代間対立を煽るような風潮が好きではない。そんな論には、知性も人間性も足りないと感じる。 小林武彦著「なぜヒトだけが老いるのか」(講談社 99…
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タブレット純(歌手・タレント)
11月×日 もっぱら古本屋通いで、扉を開き真新しい紙の匂いを嗅ぐ近刊といえばお仕事上で出会う方々の謹呈本ばかりのような。 特に佐藤利明さんは、最もその著書を譲り受けることが多い方かと。昭和の芸…
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上野誠(國學院大學文学部教授)
9月×日 今井むつみ・秋田喜美著「言語の本質」(中央公論新社 1056円)を読む。スバラシイ。言語は、モノやコトを分類する記号だが、その背後に言語化されない情報があることを教えてくれる1冊。われわれが…
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増田晶文(作家)
9月×日 小さな庭で躍起になって揚羽蝶を追い払う。20数年に梅を植えた。可憐な花から甘酸っぱい芳香を漂わせた白梅。それが虫害で枯れてしまった。泣く泣く梅を伐り、代わりに植えた柑橘。膝丈ほどの幼木が愛お…
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今井むつみ(心理学者・慶応義塾大学環境情報学部教授)
10月×日 誰も行ったことがない場所に行き、誰もしたことがない冒険をして、誰も書いたことがない作品を書く。これが「イラク水滸伝」(文藝春秋 2420円)の著者高野秀行のモットーである。今回の探検は、イ…
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宮内悠介(作家)
10月×日 翌年に出す短編集の直しをやる。夕食後、文庫化した青木知己著「Y駅発深夜バス」(東京創元社 880円)を読む。聞くところ、表題作が伝説の短編らしい。読者への情報開示の順番、謎や伏線が鮮やかで…
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福島泰樹(歌人、絶叫ミュージシャン)
9月×日 毎月10日、吉祥寺のライブハウス「曼荼羅」で月例「短歌絶叫コンサート」を開始してから39年目の秋を迎える。月夜の晩もあれば嵐の夜もあった。ピアノの永畑雅人、頭脳警察のTOSHIこと石塚俊明が…
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高野秀行(ノンフィクション作家)
8月×日 7月下旬に私は「イラク水滸伝」(文藝春秋 2420円)という新刊を出したのだが、ほぼ同じ時期に、早稲田大学探検部の後輩で冒険家・作家の角幡唯介も新刊「裸の大地・第二部 犬橇事始」(集英社 2…
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黒木亮(作家)
8月×日 ギリシャやスペインが40℃超の熱波に見舞われ、山火事が起きたりしているが、ロンドンは毎日18~22℃で、肌寒いくらい。昔、友人のシリア人バンカーが「英国の夏は、スコットランドでコテージを借り…
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中島京子(小説家)
8月×日 8月だったので、新聞やネットで戦争関連の記事をいくつも読んだ。どなたかが、古井由吉さんの空襲体験について書いているものを読んで、なんとなく読みたくなって古井由吉著「半自叙伝」(河出書房新社 …
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吉川英梨(作家)
8月×日 去年、住み慣れた京王線沿線から中央線沿いに引っ越した。仕事柄自宅から出ることが少なく、沿線と言っても電車に乗るのは月に1、2回。まだ私は中央線をディープに知らない。 そんな中、本屋で…
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間村俊一(装幀家・俳人)
7月×日 極暑続く。品川「船清」にて納涼屋形船。5時出航。椅子、テーブル備え付けの豪華船。天婦羅旨し。お台場の風景が窓外を流れて壮快。 珍しく時代小説の装幀依頼が続く。極めつけは安部龍太郎著「…
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荻原浩(作家)
7月×日 それにしても暑い。地球は壊れかけているんじゃないだろうか。我々にできるのは冷房の温度を上げること──という段階はとうに過ぎている気がする。無駄にエアコンを使わないようにと考えても、ニュースで…
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成田龍一(歴史学者)
7月×日 「週刊少年ジャンプ」に連載中のマンガ、雲母坂盾作「ドリトライ」の打ち合わせのために集英社に。「ドリトライ」は、敗戦直後の東京で、主人公「大神青空」少年がボクシングによって、混乱の時期を生き抜…
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山崎ナオコーラ(作家)
7月×日 早朝、家を出る。午前中の子守は書店員の夫が遅番なので託す。私はカフェでエッセー執筆。その途中、10時から発売開始の音楽チケットをネットで購入。「障害」のある人にも開かれたコンサート。秋になっ…
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酉島伝法(作家)
5月×日 「ユリイカ2023年7月号 特集=奇書の世界」(青土社 1980円)で円城塔さんとZOOM対談するため、朝から本を集める。書斎が暑すぎるがエアコンのリモコンが見つからないまま時間になり、対談…
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泉麻人(コラムニスト)
7月×日 秋の頃に「昭和50年代」を切り口にした本を出すこともあって、その時代の人や風俗を扱った本には敏感になっている。“ピンク色のジュリーの肖像”の表紙が目につく島崎今日子著「ジュリーがいた 沢田研…
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山本一力(作家)
5月×日 金沢での取材後、特急サンダーバードで大阪へ。着後、地下鉄利用で新世界に向かった。 「じゃんじゃん横丁」の八重勝で串カツをたらふく食べるためである。 目の前のにいさんが、揚げたて…
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石井光太(作家)
6月×日 日本に暮らす外国人の犯罪をテーマに漫画原作を書いている。毎号、漫画の末尾に外国レストランのコラムを執筆しなければならないため、最近はあちらこちらで外国料理を食べ回っている。 この日は…