文庫で読む傑作お仕事小説
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「コンビニ人間」村田沙耶香著
かつて職人の世界などでは、仕事とは教わるものではなく、盗んで覚えるものだ、などとよくいわれていた。こうした考えは良きにつけ悪しきにつけ属人性が強くなってくる。その対義となるのはマニュアル化だろう。で…
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「社奴」森村誠一著
「社奴」とは、文字通り会社の奴隷のこと。本書の親本が刊行されたのは1984年だが、その後、会社に飼いならされた会社員を示す「社畜」という言葉も登場した。 本来、従業員は求められる仕事をすること…
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「裸の華」桜木紫乃著
企業に勤めていれば、定年があるのでいや応なく仕事の区切りがつくが、野球やサッカーといったアスリートの場合は、いつ引退するかという仕事のやめどきを決めるのは難しい。20代で早々に引退する人がいれば、5…
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「コンサバター」一色さゆり著
美術館などで展覧されている古い時代の絵画の多くは修復が施されているという。というのも、絵が描かれる下地のカンバスは温度や湿度の変化で伸び縮みを起こし、絵の具や顔料がひび割れてくるし、カンバス自体も時…
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「定年待合室」江波戸哲夫著
高年齢者雇用安定法の改正により、各企業は2025年4月から「65歳まで定年年齢の引き上げ」「希望者全員を対象にした65歳までの継続雇用制度を導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置が義務付けられる。ま…
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「カンパニー」伊吹有喜著
近年では雇用調整のほかに労働環境の改善、人材の育成・交流など多目的に活用されている「出向」。とはいえ、それまでの業務とまったく畑違いの分野への出向を命じられたら戸惑うのは当然だろう。製薬会社の総務畑…
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「会社を潰すな!」小島俊一著
ふと気づくと、今まで駅前にあった本屋がなくなっている。事実、この20年で全国の書店数は半減している。1700余ある全国自治体のうち本屋が一軒もない自治体が500近くあるという。本書は、そんな逆風の中…
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「残業禁止」荒木源著
昨年4月、働き方改革の一環として残業時間が規制されることになった(中小企業は今年4月から)。残業=時間外労働は、原則月45時間、年360時間が上限となり、特別な事情があった場合でも年間720時間以内…
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「キラキラ共和国」小川糸著
現在の渋谷109の裏手にかつて「恋文横丁」と呼ばれた路地があった。戦後、占領軍の兵士宛てのラブレターの翻訳・代書する店があったことからこの名がついたものだ。本書の舞台は現在の鎌倉。主人公の雨宮鳩子は…
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「これより良い物件はございません!」三沢ケイ著
リモートワークの普及で、最近では都心から離れた神奈川県の湘南エリアと千葉県の房総半島エリアの一戸建ての価格が上昇しているという。これが今後どう続くかはわからないが、これまでは港区、中央区、千代田区の…
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「OL捜査網」吉村達也著
会社にはさまざまな部署があるが、そのうち総務部は、会社内のすべての事務業務をつかさどる部門だ。つまり、人事部、経理部、法務部、広報部などの間接部門の中枢であり、また現場と経営陣をつなぐ懸け橋的な役割…
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「お局美智 経理女子の特命調査」明日乃著
横領事件の理由には、金銭にまつわるトラブルの他に日本企業特有の家族主義的な価値観も一因と指摘されている。職場を家庭の延長のように思って横領も親の財布からくすねる程度の感覚で、あまり罪悪感を持たないと…
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「漁港の肉子ちゃん」西加奈子著
ひとり親世帯のうち、父子世帯に比べ母子世帯は6倍近く多く、直近5年では、同じ母子世帯の中でも未婚のシングルマザーの割合が33・8%増えている。そこで大きくのしかかってくるのが仕事の問題だ。働かなけれ…
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「農ガール、農ライフ」垣谷美雨著
農業就業人口は減少の一途をたどっているが、農業で起業する新規参入者だけは2008年の860人から17年の2710人と増えている。それでも自然を相手に、古くからの土地に個人が新たに参入するのはそう簡単…
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「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで」真梨幸子著
本書の舞台は百貨店の外商部。「外商というのは……お客さまのためならなんでもする。それがどんなむちゃ振りでも、『できない』『無理です』とは言わない」のが信条という、まさに「お客さまは神様です」を地で行…
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「ワーカーズ・ダイジェスト」津村記久子著
緊急事態宣言の期間中、リモートワークを実施したのは全国で35・5%、首都圏で52・2%だったという。リモートワークのメリットの一つとして満員電車に乗らなくて済むというのがある。 【あらすじ】本…
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「建築士・音無薫子の設計ノート」逢上央士著
リフォームとリノベーション、この2つはどう違うのかという客の質問に対して、本書の主人公は、リフォームというのは建築に何らかの問題があって、それを直したり設備を新しくすることで、「住み手自身が何らかの…
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「外資系オタク秘書 ハセガワノブコの華麗なる日常」泉ハナ著
近年、働き方を考える際に重視されるようになったのはワークライフバランス(仕事と生活の調和)だ。内閣府の調査によると、2011年の「仕事よりも家庭(プライベート)を優先する」52・9%、「家庭(プライ…
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「外資のオキテ」泉ハナ著
外資系企業の人気が高いという。国内企業に比べて外資がいい理由として、自分の裁量で仕事ができること、有給休暇や長期休暇などを遠慮なく行使できる、年功序列という上下関係はなく、風通しがいい、などが挙げら…
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「膠着 スナマチ株式会社奮闘記(新装版)」 今野敏著
企業の合併・買収(M&A)の手法のひとつにTOB(株式公開買い付け)がある。つい先ごろも伊藤忠商事がファミリーマートにTOBを実施したとのニュースが流れた。TOBの件数は年間40~50件程度というが…