老親・家族 在宅での看取り方
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末期胃がんの父親に、なんとか故郷の景色を見せてあげたい
「最後に生まれ育った故郷の風景を見たいと、父が……」 こんな相談があったのはつい先日のこと。昨年11月に胃がんの末期と診断された男性、Kさん(70代)の息子さんからです。 Kさんの在宅…
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入浴は危険だったが…やりたいことを最後までできて良かった
重症筋無力症と心不全を患い、白内障や前立腺肥大症も併発されている87歳の男性。原付で近隣をめぐることが趣味で、通院もできていましたが、外出中の転倒をきっかけに体調を崩し、当院が3年前から訪問診療をし…
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在宅医療なら1日24時間、自分のペースで好きなように過ごせる
今回は、在宅医療に関心を持つ患者さんやご家族から受ける質問で、よくあるものを紹介しましょう。 【病院での療養と比べて、在宅のほうが勝っていると思うことはなんですか?】 何を良しとするか…
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65歳の肺がん患者「絶対に治したいと手術も抗がん剤も頑張ったが…」
その方は65歳の男性患者さん。企業でそれなりのポストまで上り詰め、定年まで勤めあげた方でした。都内・山手線沿線に一軒家を構え、自宅には趣味の鉄道模型の部屋をつくり、人生を通してたばこを愛しておられま…
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最期が近づいているなら…治療によるつらさからは解放してあげたい
私は最期に「ありがとう」と言い合える人間関係が好きです。もし私自身がその時を迎えたら、心からそう言えるように今を生きていきたいとも考えています。 東京の城北地域の住宅地に、80歳手前のご夫婦…
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箱根を旅行中の93歳中国人男性…体調急変で保健所から往診依頼が入った
それはこの春のこと。保健所から往診依頼の連絡がありました。日本に住む子供たちに会うため来日、箱根を旅行していた93歳の中国人男性です。 前日に突然発熱、そして呼吸困難となり、小田原の病院へ救…
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在宅医療では「心」の環境調整が大事…可能であれば離れて暮らす家族も交えて
ご自宅で在宅医療を始めようとした場合、事前に行うさまざまな必要な準備がありますが、私たちはそれを「環境調整」と呼んでいます。 患者さんの状態に合わせた介護ベッドや手すりの設置、車椅子など自宅…
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夫婦ともに認知症で夫に先立たれた妻「パパのところに行けるわ」と眠るように…
先週からの続きです。 ともに認知症ながら、2人暮らしの90代のご夫婦。冬の朝、旦那さんが玄関先で倒れているのが発見されました。 幸いなことに旦那さんは一命を取り留めましたが、入院中の…
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90代夫婦2人暮らし 認知症を患いつつも楽しく暮らしていたが…
認知症といっても程度はさまざまで、日常生活を普通に送ることが難しくない方は少なくありません。 当院の患者さんで、90代のご夫婦ともが認知症。お2人暮らしをされていました。 旦那さんは…
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骨髄異形成症候群の男性「自分の最期は自分でわかっている。もう輸血はしません」
あけぼの診療所は、都内で(たぶん国内でも)最も在宅で輸血をしている医療機関です。その数は1年あたり1000件近くになり、さらに年々増加しております。 輸血を必要とする患者さんは大きく分けて、…
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患者のわがままに振り回されつつも在宅医療を進めていく
その方は、旅行中に脳卒中を起こし、救急搬送。旅行先の病院で入院し治療を受けていましたが、回復期のリハビリで東京の病院へ転院。その後、自宅へ戻られてきた70代の男性。お一人暮らしです。 「先生た…
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92歳男性患者…誤嚥を繰り返しても肉まんや餃子を口から食べたい
92歳になる男性患者さんは中国残留孤児の方で、都内の団地に中国人の奥さまと2人暮らし。がんを患い、治療は成功したものの、体が衰弱し、徐々にベッドにいる時間が長くなっていました。ご本人と奥さま、そして…
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在宅医療開始初日に…「長いお付き合いになると思っていたところでした」
在宅医療を開始するにあたってご家族が一番に心配されることはなにかといえば、それは最期の看取り。タイミング良く在宅医師はいてくれるのか? 救急車を呼んだ方がいいのか? 死亡診断は? これから起こるであ…
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心不全の80代父親を看る娘「缶ビールやハイボール1缶なら飲んでもいい?」
在宅医療を開始する患者さんの大半は、主にがん患者さんに見られるように、ご家族と相談の上で余命を自宅で過ごそうと決めた方です。 比較的高齢の患者さんでは、これから先、ADL(日常生活動作)が衰…
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不眠で悩む80歳男性「今日も耳鳴りと演歌がずっと聞こえる」
急ぎで在宅医療を開始してもらいたい方がいるんです──。ケアマネジャーさんからそんな連絡をいただいて、訪問するようになったのが、不眠と軽度腎機能低下、そして認知機能の衰えが見られる80歳の男性。弟さん…
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薬でかえってツラくなっていないか? 見直しでQOLが向上する
自分が服用している薬について、いったいどのように症状をコントロールし、どんな副作用があるのか──。患者さん及びご家族がこれらを正しく理解することは、病院での療養か在宅医療かに関係なく、非常に重要だと…
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白血病患者の在宅医療を開始「定期訪問プラス24時間365日、異変があればいつでも連絡を」
「おうちに帰ってきて困っていることはありますか?」(私) 「だるさがあったんですけど食事もお風呂もできているので大丈夫です」(患者) 「痛み止めのお薬(フェントステープ)で眠気はありますか…
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生活にコミットすることでこれまで見えてこなかった問題点が明らかに
在宅医療を開始したことで、これまで見過ごされていた問題が明らかになることがあります。 そのひとつがポリファーマシー問題です。ポリファーマシーとは、多くの薬を飲むことで、薬の相互作用、飲み間違…
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測定不能なほどの高血圧…でも、お金がないから病院にかかれない
「要介護3で、3年間どこにも受診されていないようで、ケアマネさんもついてないんです」 地域包括支援センターから、こんな連絡があったのは、この春のこと。高血圧症と言語障害を患う、内縁の夫と暮らす…
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90歳のがん患者「長生きの家系なので治療しなくてもいいだろうって」
患者さんが自分の病気と向き合うという行為は、当然ながら患者さんにしかできません。健康だった時には想像もしなかったことに遭遇し、混乱したり悲嘆に暮れたりする日もあるでしょう。 またこれまでの人…