入浴は危険だったが…やりたいことを最後までできて良かった
重症筋無力症と心不全を患い、白内障や前立腺肥大症も併発されている87歳の男性。原付で近隣をめぐることが趣味で、通院もできていましたが、外出中の転倒をきっかけに体調を崩し、当院が3年前から訪問診療をしています。
重症筋無力症とは、自己免疫疾患のひとつ。全身の筋力が低下し、通常よりも疲れやすい体質(易疲労性)となり、物が二重に見える複視や眼瞼下垂など、目に関する症状を起こしやすいことが特徴です。
男性は、料理をしたり、1人でトイレや入浴ができたりと、ADL(日常生活動作)は高め。酸素吸入を受けることを拒んだり、緑内障の手術は必要ないと判断したり、ご自身の生き方を大切にされる方でした。
「お元気でお変わりないですか?」(私)
「調子悪いよ」(患者)
「痛いところつらいところはありますか?」(私)
「あちこち痛くて。めちゃくちゃにひどいよ! 水虫も20年も治らない。もう長くはないよ」(患者)