脳のメカニズムに詳しくなろう編
なぜヒトは他の動物と違うのか?なぜ心があるのか? 人間の脳に関する研究が進んで、かなりのことが解明されてきた。脳の働きのメカニズムが分かれば、認知症を防ぐことだってできるのだ。ということで、脳のメカニズムの最新研究成果を伝える新刊をご紹介。
歴史マンガは人気があるが、なぜ教科書の説明よりマンガの方が分かりやすいのか、ヒトはなぜ涙を流すのかといった日常的な視点から説明してくれるのが「ヒトの脳にはクセがある」(小林朋道著 新潮社 1100円+税)だ。
われわれは文字を読んでその意味を理解する、ということを普通にやっているが、実はこれはけっこう高度なことなのだ。物の形を認知するのは大脳の〈視覚野〉、声で話される言語を認知するのは〈ブローカー野〉で、別々の領域だが、視覚野で認識された文字を〈39・40野〉が音情報に変換し、ブローカー野に入力してくれるから、我々は文字を理解できるのだ。文字の読み書きができない読字障害の人は、この〈39・40野〉がほとんど働いていないという。
だが、〈39・40野〉は学習の結果、構築された回路であって、直接、視覚野にアピールする絵や図のほうがはるかに分かりやすい。だから、マンガの方が分かりやすいのだ。