いまこそ世界史を読み直そう編
「名画で読み解く『世界史』」祝田 秀全著
グローバリゼーションの嵐が吹き荒れ、宗教や国家が新たな紛争と殺戮を生み出している現代社会。なぜこうなったのか、解決の糸口はどこにあるのかを探り、自分が生きてきた時代を改めて見つめ直したい――。そんな諸氏にオススメの話題の世界史本をご紹介。
ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」も、レンブラントの「夜警」も、世界の名画はどれも、その時代と密接に結びついて描かれていて、世界の名だたる名画からは、「世界史」を生きた人々の姿が生き生きと立ち上がってくる。
「名画で読み解く『世界史』」(世界文化社 1400円+税)は、111枚の名画から、絵の題材となった出来事と、誰がどのような意図で描いたかを、絵の細部に注目しながら、代々木ゼミナールの名物講師・祝田秀全氏の監修で読み解いてくれる面白本だ。
たとえば、紀元前500~449年のペルシャ戦争を描いた画家ダヴィッドの絵からは、軍事国家スパルタ軍300人が、20万人のペルシャ軍の攻撃に3日間持ちこたえた謎を読み解く。
戦いが始まる前、死を前に瞑想するレオニダス王、周りには武器を取ろうとする兵士、花輪を捧げる者などが描かれているが、髪にくしを入れ靴ひもを結び身支度を整える兵士たちの姿には精神的余裕すら読み取れる。なぜか戦いを前にして兵士たちはスッポンポン。スパルタ男子の色香を表現しているのかもしれない。