暮れの風物詩 小林幸子と美川憲一の衣装対決
<1991年12月>
暮れの紅白歌合戦。その年に活躍した新人歌手や国民的な人気歌手らが顔を揃えるが、90年代から話題の一端を担ったのは小林幸子と美川憲一の2人だった。
発端は91年。宙吊り衣装で登場した小林の艶やかな衣装。3代目市川猿之助(現猿翁)のスーパー歌舞伎がヒントになったもので、公演を見て感動した小林が猿之助の楽屋を訪れ、担当するアトリエヒノデを紹介してもらった。小林の衣装は89年からアトリエヒノデが制作し、91年に“冬の鳥”をイメージした宙乗りを実現させた。
この年、スキャンダルからカムバックしたのは美川。「さそり座の女」で17年ぶりに紅白の舞台に戻ってきた。この時、美川はコロッケを従えてド派手な衣装で会場を沸かせ、マスコミの話題をさらい、これをキッカケに衣装対決が暮れの“恒例行事”になった。
もっとも、話題を引っ張ったのは小林の方。92年には派手な電飾をデザインした「光のファンタジー」で登場し、コンピューター故障から一部の電飾が光らないというトラブルに見舞われた。さらに、93年には巨大化して「ペガサス」という衣装は幅14メートル、高さ8メートルのセット並みの大きさに。ちなみに、この時の歌手別視聴率トップは小林で、55.6%を叩き出した。