宮崎駿「風立ちぬ」がオスカー逃した原因は安倍政権
宮崎駿監督(73)の「風立ちぬ」がディズニー映画「アナと雪の女王」に敗れたアカデミー賞の長編アニメ部門。世界で1000億円超の興行収入を叩き出しているミュージカル・ファンタジーの受賞は順当と言えなくもないが、なにせ巨匠の引退作品である。ガックリと肩を落としたファンは多かったのではないか。
もっとも、作品の出来不出来と関係なく、「風立ちぬ」の受賞はハードルが高かった。米国では、安倍首相への批判が鳴りやまない。安倍本人は訪米の際に、「私を右翼の軍国主義者と呼びたいのならどうぞ」と開き直っていたが、昨年末の靖国参拝を受け、米主要紙は「帝国への懐古」「危険なナショナリズム」といった社説を掲載した。オバマ政権も安倍政権と距離を置いている。日米関係はかつてないほど冷え切った状態だ。
■日米関係が冷え切っていては…
安倍の取り巻きも火に油を注いでいる。経済ブレーンの本田悦朗内閣官房参与が靖国参拝を擁護し、首相補佐官の衛藤晟一参院議員が米国を批判。従軍慰安婦の強制性を認めた河野談話の再検証にも取りかかる。そんな中で、零戦の設計者を主人公にした日本製アニメが、米国で賞を取れるわけがない。映画批評家の前田有一氏もこう指摘する。