「風立ちぬ」アカデミーならず…日本アニメに深刻な低迷懸念
3日発表された第86回アカデミー賞。宮崎駿(73)監督の「風立ちぬ」は、最優秀長編アニメ賞を逃してしまった。
米国ファンを意識した作品をつくるアジア諸国に押され、国際競争力を失いかけている日本アニメ界に、いよいよ本格的な「冬の時代」が到来するのではと、懸念の声が出ている。
「宮崎作品のように、アニメーターが膨大な原画を描くスタジオジブリの手法は、いわば“町工場の手作り”作品。しかし、いまやアニメは、ディズニーなどの大手企業がコンピューターを駆使して効率良く製作し、ケタはずれの興行収入をあげるのが主流です。CGアニメの『アナと雪の女王』がアカデミーを取ったのは象徴的です」(映画評論家・秋本鉄次氏)
日本アニメ界が抱える構造的問題も深刻だ。テレビ局や配給会社などが介在し、いくら映画が当たっても、製作会社やアニメーターには利益が下りてこない。
「アニメーターは月収10万円程度が当たり前で、若手のほとんどが途中で挫折するのが実情。“ブラックな職業”のひとつです」(秋本氏)