衝撃の最終回…小栗旬「BORDER」はこうして成功した
■続編をにおわす最終回
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう分析する。
「小説の中では成立しても映像化するにはとても難しい世界を描いた作品ですが、原作者である金城一紀氏がシナリオも手がけたことで、もしかしたらあるかもしれないと視聴者に思わせる実に巧みなストーリーに仕上がっていました。主人公のキャラクターは小栗旬のキャスティングを念頭におき、当て書きしたと聞きます。生みの親の思いを汲(く)み取り、きちんと具現化するには役者の演技力が必要不可欠ですが、小栗は見事に応えていた。彼は人間の内に秘める陰の部分を表現することに非常に長(た)けた俳優。小栗の持ち味と物語がうまく昇華されたドラマといえるでしょう」
最終回のラストは、小栗が殺人犯役の大森南朋をビルの屋上から突き落とし、正義と悪の境界線を越えてしまう――という内容だった。ボー然とたたずむ小栗の表情が映し出された後、大森に肩を叩かれたところで唐突に終わる、いかようにも続編を展開できる締めくくりだ。
「BORDER」はテレ朝にとって「相棒」に次ぐ金鉱脈となるか。「BORDER2」制作の境界線はもう越えていたりして。