<第16回>「勝新太郎と同じくらい、寝起きが悪いと言われた」
レンブラントが描いたといわれている「黄金の兜の男」。彼はその模写を大切にしていた。
「ドイツのヴィッテンべルクという小さな城下町の旅籠に泊まった時、そこの階段にかかっていた一枚がとても気になって、それを買いたいと言ったんですが、どうしても売ってくれなかった。ただ、どんな絵なのか由来は教えてくれました。それで、僕も1年かけて、模写してもらいました。戦場から戻ってきた老兵の顔に光が当たっているというだけの小さな肖像画ですが、どうしても自分のものにしたくてねえ。今でも家の壁に掛けて、毎日、眺めてます」
詳しくは「サービスの裏方たち」(新潮文庫)のなかに、高倉健が愛した模写として収録した。本人がどれほど絵が好きなのかはそれを読めばわかる。