瀬戸カトリーヌ 女優の道を切り開いた三谷幸喜の“大抜擢”
ただ、ワタシは三谷さんがどういう方かよく知らなかったんです。その時、前の席に座っていらした三谷さんがわざわざ振り返って、「本当に“ココリコ”の田中直樹さんに似てますね!」とおっしゃったんです。
当時、よくそう言われていたとはいえ、初対面でそんなことをおっしゃるなんて「なんだ、この人、失礼だ」と思いました。その悪印象が「オケピ!」の感動で見事に吹き飛びましたね。
「彦馬がゆく」は共演の方々についていくのに必死。まず、本読みのとき、三谷さんに「関西弁の役に変えますか」と聞かれました。自分は標準語のつもりだったんですけど。「いえ、標準語でやります」と答え、「OSK」で学んだときのアクセント辞典を引っ張り出し、必死で矯正しました。
役作りや笑いの間にしても毎日、「今日の○○はよかった」「あそこは感情を出しすぎていました」と非常に細かく冷静に冗談を交えながら演出なさる。役者にとってお芝居で悩めるって幸せなこと。もっと学びたいと心から貪欲に思うようになりましたね。
去年、テレビドラマに出たとき、お知らせしていなかったのに、「お芝居がうまくなりましたね」って一言だけのメールが来ました。やっと最近、すこし褒められるようになりました。