芸能界に馴染めずとも オードリー若林は“素直”で生き残り
芸能人というのは不思議な職業で、下積み時代と売れた後ですべてがガラッと変わってしまう。たくさんテレビに出たりおカネが入ってきたりするうちに、下積み時代の感覚がだんだん薄れていくのが普通だ。
ところが、ごくまれにそうではない人もいる。売れてない頃の感覚を失わず、華やかな世界に馴染めないままで仕事をこなす。そういう人は大抵テレビの世界では通用しないものだが、ものすごく器用で能力が高くてキャラとしての魅力がある場合だけ、そういう人が生き残っていけることもある。オードリーの若林正恭(37)はそんな変わり者の一人だ。
「社会人大学人見知り学部 卒業見込」(メディアファクトリー)では、彼が芸能界に入って経験したさまざまな出来事とそれに対する素朴な雑感がありのままにつづられている。
もともとテレビを見る習慣のなかった若林にとって、テレビの仕事は驚きの連続だった。芸能人の豪邸を訪問して、高価な壺を見つける。その値段が数百万円だと聞いてリポーターは驚く。この流れが若林にはどうしても馴染めない。「別に壺なんか要らないし、何百万円もする壺を持っているからすごいってことでもないだろ」と思ってしまうのだ。