故・今井雅之さん実姉が語る 壮絶闘病生活と不屈の役者魂
このとき、陽子さんは大腸以外にがんが転移していることを誰にも言えなかったという。横浜の病院で行った大腸の手術は無事に成功した。
術後、新大阪駅のホームで今井と一緒に新幹線を待っているとき、帽子を目深にかぶっていたにもかかわらず、気づいたファンが「サインください」と声をかけてきたことがあった。
「あれだけしんどい状態だったら『すいません』と断ればいいのに、すぐにシャキッとして、つらさなどみじんも見せずにサインに応じたんです。改めて“役者やな”と感心しました。いつも『オレのファンなんて少ないけど、その少ないファンを大切にしないとあかん。ファンは家族やから』と口癖のように言っていましたから」
■見舞いに行ってもベッドはもぬけの殻
昨年3月、都内の有名大学病院に通うことになったが、大学病院ならではの対応にショックを受けたという。
「安倍首相の潰瘍性大腸炎を診た主治医の先生に診ていただけると聞いたので大船に乗ったつもりで行ったんですが、毎回違う先生がマニュアルに沿ったことしか言わないので、これ以上この病院には関わりたくないと思いました。医療従事者にとって本人がどう生きるかをサポートするのも仕事だからです」