沈黙─サイレンス─ (2016年・米国、台湾、メキシコ)
ハリウッドを代表する巨匠マーティン・スコセッシが、苛酷なキリシタン弾圧下の江戸初期の人間ドラマを描く。
日本で恩師を捜そうと密航してきた若き宣教師ロドリゴ。隠れキリシタンにかくまわれて布教を行うが、信者の裏切りで奉行に捕らわれる。
目の前で信者が首をはねられたり、生きたまま海に沈められたり……。残酷な刑を見せつけられ、「あいつらが死んでしまうのは、全部おまえのせいだぞ」と奉行の家臣に追い込まれていく。
そんな中、棄教して日本人の妻と所帯を持ち日本名を授けられた恩師に再会。恩師の言葉は、どんなに強い信念があっても、時と場所が違えば無に等しいと諭す。弟子は恩師に絶望し、「裏切り者」とののしるが……。
構想28年、遠藤周作の原作を巨匠が見事に映像化。2時間40分の大作ながら、重いテーマを飽きずに見させる演出はさすが。
特にロドリゴをかくまった隠れキリシタン役の窪塚洋介と奉行役のイッセー尾形は秀逸。人間の愚かさ、弱さ、残酷さを見事に演じる。