三浦浩一さんの俳優人生を変えた 故・平幹二朗氏との稽古

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■平さんがいたから頑張ることができた

 そんな状態ながら歯を食いしばって耐え、頑張れたのは平さんのお芝居に対する真摯な姿勢を目の当たりにしたからです。

 平さんとは81年正月のNHK特番時代劇でご一緒したのが初共演、舞台は06年の明治座での「剣客商売」が最初。池波正太郎さん原作の「剣客商売」はもともと、藤田まことさん(故人)主演のフジテレビの時代劇で、それをベースに舞台化した作品です。

 ところが、藤田さんが体調不良で急に降板することになり、代役が平さんでした。その時に「時代劇で好々爺を演じるのは初めてなんだよ」とおっしゃって、稽古の時からこだわり方が半端じゃなかった。たとえば、ドーランの色。演じるたびに違う。どうすれば役柄らしく見えるかと試行錯誤されていたんです。もちろん役者はみんなそれぞれに役作りに苦労されてるとは思います。でも、平さんのように徹底される役者さんは初めて見ました。

 そんな平さんとの「冬のライオン」の稽古はすごく刺激的でした。所作や視線、表情の変化。手の表情まで演出するんです。また、透明感にあふれて低音も高音も響き渡る声が素晴らしい。加えて威厳ある立ち居振る舞い。すべてが中世の王様そのものでした。

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