鶴瓶さんが「兄さん、ちょっと出させて」と突然やってきて
好楽が自宅に<池之端しのぶ亭>をつくったのは、師匠の先代円楽が江東区東陽町に寄席<若竹>をつくり、わずか4年8カ月で閉館してしまったことが頭にあったようだ。
「師匠は経営が苦しくなって借金がかさむと、すっぱりやめてしまった。バブルのいい時期に売り払って借金を返済したからよかった。傍らで見ていて、寄席を経営するのはいかに大変かわかりました。その点、しのぶ亭は家賃がいらないし、維持費もたいしてかからないから借金することがない。気楽なもんです」
公演日程は不定期で、月に数回開催されるが、若手の勉強会に限らず、好楽の人脈で多くの売れっ子落語家が出演するという。
「正月興行は豪華ですよ。小遊三さん、昇太さん、たい平さんら笑点メンバーが出ますし、小朝さんも出てくれる。志の輔さんは毎年2日、立川流の新年会がすぐ近くの中華料理店であるので、その帰りに飛び入り出演します。出演者を事前に発表すると満員になっちゃうから内緒にしてます。飛び入りと言えば鶴瓶さんが、『兄さん、ちょっと出させて』と突然やって来る。仲間というのはありがたいもんです」