著者のコラム一覧
吉川圭三映像プロデューサー

1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサー、早稲田大学表現工学科講師を務める。著書に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)、「全力でアナウンサーしています。」(文藝春秋)がある。

ドワンゴ創業者・川上量生<後編>イノシシのような剣幕で…

公開日: 更新日:

 ドワンゴは放送法に縛られないため、タブーやアンタッチャブルがない。英国のBBCのスタッフに日本を撮らせようと私が提案したら、川上さんはしばらく考え、「それはいい。それならば日韓問題をやりましょう」と一言。英国視点で日韓問題を見たらこうなると日本人に伝えたいというわけだが、領土問題、従軍慰安婦問題など日本のメディアですら映像で真正面から突っ込んだものはないのにかなり挑戦的だった。

 だが英国での配信最終版が出来上がった時、歴史的誤謬(ごびゅう)が発見された。1965年の日韓基本条約が締結され、多額の賠償金が日本から支払われた。経済支援協力金の名目であった。この作品ではその説明の後、ある従軍慰安婦が「私たちはそれをもらっていない」との証言がつないであった。従軍慰安婦問題は90年代に浮上したから、ここは直すと言うと、「英国サイドがそう考えているのだから、そのままで良い!」と川上さんがイノシシのようなすごい剣幕(けんまく)で噛みついてきた。「これをそのまま配信したら大変な問題になりますよ」と押し問答は続いたが、「英国サイドにこの編集の意図を聞いてみましょう」ということで一応収まった。今、思えば川上さんは賠償金という名目で支払われたこの資金が“韓国復興のため”と言いながら“復興を手伝った日本企業に多く転がり込んだ”ということを知っていたのかもしれない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小室佳代さんは眞子さんを「配偶者」と呼び、秋篠宮さまは圭さんを「夫の方」と呼ばれ…自伝本が深めたミゾ

  2. 2

    松坂桃李「御上先生」は連ドラの“勝ちパターン”を外してしまった? 1ケタ陥落で疑われる《失速と中だるみ》

  3. 3

    開成合格でも渋幕に入学する学生が…強力なライバル校出現で揺らぐ唯一無二の存在

  4. 4

    “選挙のプロ”立花孝志まさかの凡ミス赤っ恥…第一声「神戸→船橋」急きょ変更のお粗末

  5. 5

    中村芝翫「同棲愛人と破局宣言」で三田寛子の夫婦関係はどうなる? “梨園の妻”の揺れる心中

  1. 6

    小室圭さん母・佳代さん まさかの「自伝本」出版に宮内庁が困惑…“魂の訴え”で秋篠宮家にまた逆風か

  2. 7

    三田寛子はアイドルから“梨園の妻の鑑”に華麗なる転身も…夫の不倫癖で扇千景さんの境地になれない

  3. 8

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 異例の「マイナー相手に実戦登板」で見えた首脳陣の痛恨トラウマ

  5. 10

    なぜオリ山岡泰輔だけが名前を晒されたのか…SNSでは「不公平」「一律公表すべき」の声