石原さとみ「高嶺の花」の今後…野島伸司の“仕掛け”に期待
「また変わったことを始めたなあ」というのが第一印象だ。石原さとみ主演「高嶺の花」(日本テレビ系)である。
主人公の月島もも(石原)は華道家元の長女。実力と美貌の持ち主だが、婚約者の二股が判明し、結婚式当日にご破算となる。大きなショックを受けたももが出会ったのは、いわゆる3髙でもイケメンでもない、小さな自転車店の店主・風間直人(峯田和伸)。果たして高嶺の花は地上の花となるのか、という展開だ。
ももは直人やその仲間たちに、自分はキャバ嬢だと嘘をついている。石原のハイテンションなキャバ嬢ぶりは、凜とした次期家元の姿との対比も鮮やかで、その演技は自在な振れ幅を見せている。
このドラマでは、ももの今後が気になるのはもちろんだが、予想以上に直人という人間が興味深い。性格は温和で優しい。誰にでも親切。20年も介護してきた母親(十朱幸代)をみとったばかりだ。
しかし、直人は単なる「いい人」なのか。何しろ脚本が野島伸司である。直人の「無垢なる魂」をてこにして、人間の本性を暴くような仕掛けが待っているのではないかと期待してしまう。
さらに「家元」という背景の設定にも不穏なものを感じる。家元制は天皇制に通じているからだ。まさに高嶺の花の方々の結婚問題がワイドショーをにぎわせる昨今、野島は何をどこまで描こうとしているのだろう。